樹木による騒音低減効果は「物理的なもの」と「心理的なもの」があります。
物理的には樹木の幹や葉が音を反射・散乱すると共に、その一部を吸収することによって起きるとされています。
たとえば、幅20mの樹林帯による騒音低減量は、4.6±0.7dBともいわれ、吸音よりも反射による防音効果が大きく大型の葉が垂直に展開している樹木がより効果的という研究結果もあります。
これは、樹木の各部が音を反射することに加え、多孔質な植物体によって音のエネルギーが減衰、加えて葉の表面の微細な繊毛などが振動することにより、熱エネルギーに変換され、吸収・減衰されるなど多様な樹木の構造によるものに起因します。
一方、心理的には音の発生源を樹木などの緑で遮蔽し見えなくすることで、騒音として知覚する量が低減されることが多くの実験で確認されていることに加え、緑の織り成す音(小鳥や虫のさえずりなど)が雑音を覆うマスキング効果もあるといわれており、これが心理的な効果とされています。
樹林の騒音防止効果は、人がうるさいと感じる高周波域で特に有効であり、物理的なものだけでなく、心理的効果やマスキング効果など総合的な要素を持ち合わせているところが大きな特徴なのです。
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